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再びキースの誕生日がやってきました。 キース・アニアンの誕生日話の第二弾。 まさかキースの誕生日を再び書くとは、去年は思っていませんでした。 馬鹿の一つ覚えのようなタイトルが続いています。 この分だと「続・アニアン家の新年」とか「続・アニアン夫妻の記念日」とか、どんどん続いていきそうです〜。 ************************** 続・キース・アニアンの誕生日 「クリスマスは御苦労だった」 キースは報告書に目を通しながらそう言った。 「いえ、砦の子供達に喜んでもらえたし良かったです」 キースの副側近であるミハイル・ティフォノフが椅子に座った状態でそう答える。 「ジョミーの様子は?」 「はい。年末には退院出来るかもしれないそうです。ソルジャー・ブルーがついているので心配はないでしょう」 「そうか。イーファやうちの子供達は役に立ったのか? 足手まといにはならなかったか?」 「クリスマス会の方は殆どアーネストが取り仕切っていました。アーネストとレッドが会場準備とツリー担当でしたね。自分はアースと一緒にケーキカットや会場の飾り付けの担当をしました」 「イーファは何をしてたんだ?」 「お笑い担当でしたね。舞台でおかしなギャクを連発していました。アーネストの父親もソルジャー・シンを心配して駆け付けてきてたんですが、ゲームの景品作りを任されていました」 「そうか。なんとかなったようだな」 夜遅く帰ってきたので、息子達からもまだ砦の話を聞いていない。 「ジョナ教官は外勤が多かったようですね」 「砦の震災で隊員を大勢派遣したおかげで、他の任務が手薄になってはいけないと言って、あちこち走りまわっていたようだ」 「今日も外勤ですか?」 「そうだ。お前の仕事も溜まっているぞ」 「頑張ります」 と言ってミハイルは資料などに手を伸ばした。 「ミハイル」 「はい」 「先日の見合い話の件だが」 そこでミハイルは手を止める。 「アニアン司令、そのお話は……」 「いや、もう無理に勧めようとは思わない。私も歳をとったのかもしれないな。部下の世話をしようなどと」 「……」 「そういうことだ。縁談のことは忘れてくれ」 「アニアン司令」 キースは静かにミハイルを見た。 「お気遣いありがとうございます。実は……自分にはもう長いこと好きな相手がいるのです」 その言葉にキースは驚いてミハイルを見る。 「なぜそれを早く言わなかった」 その話を聞いていれば縁談など持ち込まなかったのに……と思っていた。 「申し訳ありません。打ち明けられない事情がありまして」 「事情?」 「はい。好きな相手はいますが、申し訳ありませんが、司令には紹介出来ません」 「なぜだ」 「それは言えません」 「お前は私を信頼していないのか?」 「そうではありません」 「ではなぜ言えない」 「司令に賛成して頂けるような相手ではないのです。もちろん家族にも言っていません」 「……」 なんだかよく分からないが、本当に不倫でもしているのか……とキースは不思議でたまらなかった。 さすがにそれ以上突っ込んで尋ねるつもりもないが……。 「最近、五年前のことをよく考える」 「五年前ですか?」 「クリスマスの……爆弾騒ぎの時のことだ」 ミハイルはハッとした表情になる。 「あの時は大変失礼なことを申し上げました」 「お前はあの行動を非難した。チェン・イーファと共に解体に付き添った私の行動を……司令官の立場の方が取る行動ではないと。上に立つものが必要のない危険に晒されることは避けなければいけないと言ったな」 「はい。申し訳ありません」 「あのことはすっかり忘れていたんだが、ふいに思い出した。ソルジャー二人を穴から引っ張り上げようとした時に。今回もマツカに止められたんだ。若い者に任せろと。今になって考えれば確かにその通りなんだろう。私が出ていく幕ではなかったのかもしれない」 「アニアン司令」 「お前がそばにいたら、やはりマツカと同じように止めただろうな。司令官たる者のやることではないと」 「その行動は確かに司令官に相応しくはない行動です。しかし一人の人間の行動として考えたら、自分は……僕はアニアン司令の行動を咎めることは出来ません」 「ミハイル」 「はい」 「五年前にお前の言った言葉は正しかった」 「アニアン司令?」 「今はそう思っている」 「そうですか」 「言いたいことはそれだけだ」 「その……ちゃんと言ったことはなかったのですが」 「何をだ」 「自分は……司令官という立場を別にしても、人間としてのアニアン司令を……キース・アニアンとしての一人の人間をとても尊敬しています」 キースはふっと目を伏せる。 「……そうか」 (尊敬?) 前世の自分ならとても言われなかったような言葉だ。 (これがミハイルではなくシロエだったなら、そんなことは絶対言わないだろう) そんなことをぼんやり考えている時だった。 「おい、何だ、これは」 夕食後、いきなりダイニングテーブルに生クリームとイチゴの丸いホールケーキが乗せられたのだ。 クリスマスもケーキなしで過ごしたアニアン家だったが……。 「また忘れたんですか?」 マツカが微笑して言った。 「パパ、お誕生日おめでとう!」 という子供達の声と共にパーンとクラッカーが鳴らされる。 「今年はセーターを編む時間もなくて、手抜きなんですよ、すみません」 などと言って包装も何もなしに渡されたのは、真っ白なマフラーだった。 「お前が編んだのか」 「ええ」 とマツカが返事をしたと同時に、子供達が一斉に同じデザインのマフラーを掲げた。 「僕は青だよ」 とアース。 「僕はもちろん赤」 とレッド。 「おれは緑!」 とこれはサム。 「わたしはピンク」 と最後にハニーだった。 「家族で色違いのお揃いなんですよ」 「お前の分は?」 「ああ、私のは作る時間がなかったです。そのうち作りますよ」 「ママ、ろうそくを立てていい?」 とアースがろうそくを出そうとした時だった。 居間に備えてある本部からの連絡用のモニター画面のスイッチが入った。 通信の方ではなく、緊急用の赤ランプの点灯だった。 するとすぐにマツカがそれに出た。 「こちらキース・アニアン司令官宅。ジョナ・マツカ三佐です。はい……え? 何ですって? はい、了解しました。すぐに爆発物処理班に連絡を」 (またか) それだけで内容の察しがついた。 「マツカ、今度は何だ!」 「爆弾をしかけたと脅迫の……」 「また脅迫通信か!」 五年前にも同じような事件があった。 子供達は顔を見合わせたり不安げな表情をしたりしている。 「本部内か」 「いえ、爆弾を仕掛けたという場所は実は宿舎なのです」 「宿舎だと?」 「はい。独身者向けの宿舎のどこかに仕掛けたと脅迫メールが入ったそうです」 「全員、外に出ろ。ここは宿舎にも近いし危険だ」 この前、家を直したばかりなのにまたこの騒ぎか……とキースは思っていた。 「宿舎にいる全員を非難させるぞ」 「はい、もちろんです」 「それとチェン・イーファの出番だな」 と言うとなぜかマツカは顔を一瞬曇らせたが、すぐに言った。 「そうですね」 独身者向け宿舎の前はすでに人だかりだった。軍服姿のものもいるが、殆どは私服姿の部下達だった。 「探知機の用意は?」 キースが訊くと爆発物処理班の一人が頷いた。 「用意完了しました」 「ではすぐに始めろ」 「了解」 数人が探知機をそれぞれ抱えて宿舎へと飛び込んでいく。 「あーあ、まったく……ようやく仕事から帰ったばかりだってのに……」 などと呑気に欠伸をしているのはチェン・イーファだった。 「余裕だな。お前の住居がなくなるかもしれないのに」 キースはイーファを睨み付けた。 「きっとイタズラですよ。今までも何回か脅迫があったけど、八割がイタズラですから」 「イーファ、お前は呑気だな」 ミハイルは呆れたように言った。 少しの間が合って、いきなりキースの持っているスピーカーが反応した。 『アニアン司令! 探索機が反応しました! 最近、引っ越して空き部屋になったばかりの一室から反応です!』 その場が一斉に騒がしくなった。 「マツカ」 「はい」 「ミュウ特別部隊の全員で宿舎を囲むようにサイオンシールドを張れ」 「分かりました」 「チェン・イーファ、お前の出番だ」 「分かってますよー」 などと相変わらず呑気に爆発物処理に使うカバンを抱えてイーファは歩き出した。 すると突然、マツカがイーファに駆け寄った。 (何だ?) マツカのことだから、今度は自分を連れていくなとでも言っているのかもしれない。今回はさすがにキースも一緒に行くつもりはなかったが……。 マツカとイーファは何やら話をしている。 急に二人で口を閉ざしてマツカの身体が一瞬緑色に光った。 (思念波?) マツカとイーファは他の者に聞かれたくない話をしているようだ。 (何を話している? マツカ) 送話は出来ても、ミュウではないキースにその思念波が読み取れるはずがなかった。 ************************** (後編へ続く) |
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| タイトル (本文) | ブログ名/日時 |
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| 内 容 | ニックネーム/日時 |
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ミハイルは本気でアースが好きなんですねー! |
ゆず 2008/12/28 00:43 |
また大変なことになってきましたね。な、なんだか嫌な予感が・・・ |
ラムネ 2008/12/28 23:26 |
ゆずさま |
棚木初音 2008/12/29 00:05 |
ラムネさま |
棚木初音 2008/12/29 00:07 |
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